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Switch版「夏空のモノローグ」全ルート終えた感想

2024年は「デスペラドロップス」「ときめきメモリアルGS4」以来となる乙女ゲームでした。

「夏空のモノローグ」の致命的なネタバレを普通にしてます。未プレイの方は参考にならないと思いますのでご注意ください。

 

 

 

乙女ゲーム」という媒体の懐の深さを感じた作品でした。

キャラデザだったり文体だったりノベルゲーっぽい画面だったりで感触としては「どちらかといえばギャルゲーっぽさ」を感じてました。ライターさん、ギャルゲー書いたら良さそう。

恋愛描写はTwitter(現:X)でもさんざんツイートしましたが、もうワンエッセンスでいいからなにかエピソードがあれば良かったです。特に先生は、とってつけたような最後のプロポーズ?は脈絡がないように感じられたので。ただそこを入れてしまうと全体的に冗長になってしまいそうなことと、主人公が最終的に真に明日を望んでいたわけではなかった、という事実を鑑みると、「あんなに各ルートでいろいろあったのに主人公には響かなかったのか?!」となりそうであるので、致し方ない面はあります。

未来の2人の話とかもあって欲しかったのですが、それもまた「何度も繰り返し見ることができるゲームという性質」と「ループがなく、同じ日はもう二度と来ない日々」との相性が悪いのでしょうがないのかな…とも思ってます。しょうがないことばっかだな。

科学部のみんな、ほんとうに良い子で、ありえんくらいの良い子で、これどちらかといえば「恋愛」よりも「友情」のほうがよく描いていると思ってて、もっといえば「男同士のケア」が描かれているように思いました。《描いている》というとなんか違う感じもしますが。におわせている、と言った方がいいかも。

本質的にみんな孤独であり、お互いの傷を見せあうことは無いけど、一緒にいることでケアし合う関係になっているんじゃないかなと。別になんも解決しないんですよ。先生の弟の病気は治らないし、篠原くんの記憶障害も治らない。カガハルくんの右手も治らないし、木野瀬くんが好きだったあの子の記憶も戻らない。部長のお父さんも帰ってこない。

「二十億光年の孤独」という谷川俊太郎の有名な詩があります。

すごく本作と、あるいは部長とマッチする詩だと思いましたのでぜひGoogleなどでググッたりして読んでみてください。すごくいい詩です。

前回の途中経過感想でポロッと書きましたが、真相ルートで特定のキャラとしか結ばれない真エンディングを迎えたら嫌だな、と書きましたが、実際は「主人公が今後誰と過ごすかあるいは過ごさないか」は決まっていないのでそこは良かったなと思います。なので綿森とはハグだけだったのが逆に良かったですね。

乙女ゲームで、何千年とループした主人公が報われない終わり方をしていたのがほんっっっっとうに最悪だなと思ってたので、ああいう形で綿森が報われたのは本当に本当に良かった。

あのね、ゲームなんてね、一方通行の他媒体と違ってユーザーがインタラクティブできる媒体なんだから絶対ハッピーエンドがあった方がいいんですよ。特にさあ何千年何万年もループしたやつなんかいる作品はさぁ。都合のいいハッピーエンドってバッドエンド擁護する人がよく言いますけどそれバッドエンドにも言えますからね。都合よくバッドエンドにしてんだからさあ!

とまあ別ゲームの呪詛はさておき…。

乙女ゲームやってて泣いたことはあまりないんですが今作もガッツリ泣いてはないもののちょろっと泣けたシーンがいくつかありましたね。しんみりきたり、ほろっときたり……。1番グッときたのはやっぱなんだかんだ先生ルートかな。「奇跡なんて起きないと知ってるけどそれでも明日が良い日になることを信じずにはいられない」という無常観が良かったです。救いはないけどそれでも……というささやかな希望とやるせなさがありました。先生とのロマンスも感じられたらもっと良かったです!

あとグラなしキャラとのエピソードでありつつも印象深かったのは母親との和解と、女友達ができるところです。「乙女ゲーで女友達とかいらねー」と思ってきた私ですが最近はわりと「いる派」になりつつあります。何百何千のループの積み重ねで、少しずつ勇気が蓄積された主人公が頑張って一歩を踏み出すのが良かったです。わりと各キャラのルートでもいろいろな形の弱さを見せた主人公なので尚更。

自分が好む乙女ゲーが多分そういう傾向なんだと思いますが、「攻略キャラを勇気づけ、ケアする存在/攻略キャラを狂わせる存在」が多い気がする乙女ゲーという媒体の中で、主人公は正直攻略キャラのメンタル面でそこまで致命的な役割を持っていないのが逆に本作らしさがあって良かったと思います。選べる道はひとつに集約されるので主人公がいないと生きていけないキャラがいたらしんどいですからね。

 

「夏空のモノローグ」、すっごい激刺さりというわけではなかったのですが、じんわりと「好きだなあ、良かったなあ」と思う作品になりました。

私はわりと乙女ゲーやる時は怒ったりときめいたりすることが多いのですが基本心穏やかにプレイしてたと思います。良いことというわけでも悪いことというわけでもないのですが。

「乙女ゲー」を「恋愛だけの作品」のみと位置づけするとしたら非常にパンチが弱いですが、乙女ゲーってなんでもありですからね。

良い作品でした!対戦ありがとうございました!

 

最後に「あつまれどうぶつの森」で再現した部室を載せます。作りたくなっちゃうね。

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