※途中からネタバレがありますので未プレイの方はお気をつけください。
※ネタバレのない範囲で言うと、苦行のルートがありつつも全体的にTwitter(現X)のFF内の評判よりは楽しめたかな・ルヲの「 雨前終節」エンドとゼベネラルートが良かった・続編は購入予定…というのがざっくりした感想です。
ネタバレなし感想
私はえろい作品が好きです。最近はえろ絵を描く練習もしてますし、えろはあればあるだけ嬉しいと思ってます。えろはご褒美です。
そんな私が、「ことあるごとにえろいことするタイプの乙女ゲームは好きなんじゃないか?」と思い、Twitter(現X)でタイトルを募ったところ、挙がったのがこちらのタイトルでした。
結論を言うと、「えろはえろいから好きなのであって、えろくないえろはあんま嬉しくないしそれが作品を面白いと思う気持ちに寄与するかと言われるとそれはまた別の話」ということがこの作品を通してわかりました。勉強になったなあ。
作品上、「子供を遺すこと」はそれなりに重要な意味があるということが後半のほうでわかるので、キャラクターたちがことあるごとに子を成そうと性行為するのはそんなに違和感はなく、単なる子作りとしての性行為と、愛し合うがゆえの性行為とのギャップがあるのは良かったです。ただ、そこらへん含めて攻略キャラと主人公の心の揺れ動きや交流などが丁寧に描かれているかというとそういうわけでもなく…。あと「えっち」かというとあんまりえっちさもなく(フォロワーさんにお見せしていただいた小冊子はけっこう「えっち」でよかったですが)、個人的には性行為なくてもいいので、もっといわゆるところの「前戯」的な、「ドキドキワクワク感」があったほうが嬉しかったです。触れ合ってドキドキ、シチュエーションでドキドキみたいな。
「えっちな描写は確かにあるけど、それがあるからといって別にえっちではない」というのが残念なところではありました。
じゃあ肝心のえっちなところ以外はどうかというと、よかったルートはあるものの、だめなルートはめちゃくちゃだめで、特に「青凛」ルートはめちゃくちゃ苦行でした。
描きたいシーンがあってそれのために物語を紡いでいる感じがあり、「いやそんなことする前触れありましたか……??」みたいなことがいくつかあり、つらかったです。確かにピンポイントで見ればそれらのシーンは感動的ではあるのですが、その感動をやるための下ごしらえが全く丁寧ではないので、余計しらけるんですよね。
あと前のほうでも少し触れましたが、「攻略キャラと主人公との心の揺れ動きや交流」面はさほど丁寧ではなく、どちらかというと全編を通して、「市井の者たちがくそすぎてうざい」「権力ある人間の浅ましさがうざい」みたいなところが目立つのでけっこうストレスでした。物語のスパイスとしてそういった要素があるのはわかるし必要だとも思うのですが、肝心の味付けである「攻略キャラとの物語」のパンチが弱いルートもあってもっとうまいことやってほしかったと思います。
特に「青凛」ルート、は、青凛が何をしてくれたのかほとんど記憶になく、もっと爪痕を残してほしかったです。優しい人なのはすごく伝わるのですが、宮殿にはびこる悪意に対して、その優しさがあんまり有効ではなかったので余計…。
私の好みなのですが、良いことも悪いことも、攻略キャラによって引き起こされることのほうが良いです。もちろん、物語が上手なのであれば、それは気にならないと思いますが普通に物語の構造が下手寄りなので(ライターの問題なのかディレクターの問題なのか。あと普通に私が悪いってのもある)…。
真相ルートとも言うべきルートで明かされる真実はすっごく面白かったので、もっと要所要所で頑張ってほしかったなと思いました。
良いところももちろんあって、イラストがめちゃくちゃきれい! スチルも立ち絵も違和感ないし、絵がきれいですごく良かったです。
あとエンディングが「春前終節」「明前終節」「雨前終節」の3つあって、特に、おそらくハッピーエンドではなさそうなエンディングはどれも程よい絶望感があって良かったです。特にルヲの「雨前終節」がすごくすごく良くて…!! フォロワーさんから、バッドが良いよ~と教えてもらわなかったらきっとそもそも本作をクリアできていなかったかもしれません。それくらいバッドエンドは良かったです。
性行為描写がたくさんあったのも全然嫌ではなかったので、私としては面白かったです。ただ、「面白かった」で済ますには、「つらさ」「制作サイドへの”もっとどうにかならなかったん?”という思い」「苦しみ」がありすぎました……。
きちんと全EDを見ることができた達成感はあります。続編があるらしいので、それはそれで楽しみなような期待できないような、そんな気持ちです。
ちなみに好きなキャラは「ルヲ」と「ゼベネラ」です!!
対戦ありがとうございました!!!
⚠️以下、全編のネタバレを含む感想があります⚠️
ネタバレあり感想(各キャラメモ)
- ルヲ
「春前」エンディングだけだとパンチが弱いのですが、「雨前」の狂っちゃった男ルヲが良すぎて最高でした。ありがとう雨前ルヲ…。雨前だけでご飯3合いけます。
フォロワーさんから見せていただいた小冊子で、どうもNTR属性があるわけではなさそうということが判明しましたが、それはそれとしてNTR属性がある世界線のルヲもめっちゃいいなと思いました。
- 胡 青凛
青凛自身は好きなのですが、このルートが長いうえにつまらなかったのでめちゃくちゃ苦行でした。このルートの悪口をツイートしてる時におそらく本作を挫折したであろうフォロワーさんから「いいね」がきてなんか面白かったです。
まじで苦行で、なんとか青凛ルートの感想を検索して自身を鼓舞してました。正体が実は龍だった、というネタバレももちろん踏みましたが、別に初見の体験を損ねるあれではなかったです。
「おっさんの性行為のギシギシ音を聞きながら歌を歌わせるシチュエーション」は面白かったです。
青凛ともっと楽しい思い出を作りたかったのに、「おっさん性行為現場で歌唱」「ばかしかいない宮殿」「ダイジェストで捕まりダイジェストで釈放される燕来」「戦争はやめて!(それはそう)」みたいな思い出しかない…。
いちばん好きなEDは「明前」です。一緒に仙郷に行ってだらだらするやつ。
- ゼベネラ
良い男すぎる…!! ふつうに彼のルートが一番面白かったです。体感、青凛ルートの半分くらいしかなかったです。
子を成すためだけの性行為を交わした男が、徐々に主人公のやさしさ、強さにほだされ、主人公も彼の強さ、やさしさにほだされ、互いの故郷の料理を食べようね、とかしているところがベタだけどぐっときました。
子を成したくて、「男らしい男」なのに、彼には子種がないという残酷さもすっげー良かったので、もっとそのギャップに苦悩する姿など描いてくれたらよかったなと思いました。
どんな場所でも彼は「王たる男」だということがわかる「明前」エンドが一番好きですね。砂漠の王!!
- カルマ
隠す意味、あります…?
終始不憫な男の子でした。青凛ルートよりは面白かったけど、「人間になりたい」と願う彼の思いがかなえられるエンディングがないのが可哀想でした。なんか縁もゆかりもない人間を助けるために人間性を捨ててほぼ獣になるというのはあまりにも、あまりになのでは?? あの主人公と一緒になんか歌を歌って人間を救うシーンをやりたかっただけでは?? まあ彼が操られてたとはいえ、人を殺めまくってたゆえに純粋にハッピーエンドにさせなかっただけかもしれないけど、操った張本人だけ「やっと死ねる――」とかいって安らかに死んでったのがふつうにむかつきますね。カルマは悪くないやろがい!!
一番好きなEDは「雨前」です。主人公の骸骨とハッピーエンド♡が可哀想すぎて、良かったです。
- 玖 燕來
燕来自身は普通に良い男だったと思うんですが、私自身がこんな世界のモブたちを統治したくないという思いが強すぎて……。
「爪」の炯眼を宿し、いつ狂ってしまうかわからないなか、悠長に主人公と旅をして、(炯眼を宿したために仕方ないこととはいえ)のんきに性行為にお励みになったり踊ったりなどされていて、けっこう頭抱えました。
あんまり感想がないな…。うん、良い男でした(適当)。
好きなEDは「明前」です。カルマも生きてるし、青凛も王になれたし、燕来は眼鏡かけて髪切って先生姿がめちゃくちゃ似合ってて良かったですね。「雨前」も好き。
- フェイ
私はフェイになんの思い入れもなかったので、普通に面白かったのですが、これフェイを目当てにした人たち的にはけっこうしんどくないですが…?
青凛ルートなくして「フェイ」ルートと「フエン」ルート両方つくればよくないですか?? フエンの中に確実にフェイがいるとはいえど、主人公にとっての思い出ってフエンのフェイの部分だけなので、フェイの姿として主人公とくっつくエンドがあれば良かったなーと思います。それが「雨前」なんでしょうけど、それはあまりにもあまりなのでは???
彼のルートで明かされる真実というか、「どうしてこうなったかというと――」というつながっていく部分が面白かったです。面白かっただけに、不完全燃焼感が強くもありましたね。「神的な存在の力が必要なのか、それとは決別して人間たちだけで生きていくのか」の決着をゴールにしたほうがいろいろスッキリして面白かったんじゃないのかな?と思います。蛍彗ってあいつ結局なんなの?あいつラスボスってことにしたほうが収まりよかったんじゃないの???ってすごい思います。滅びろあんな国。
好きなEDは特にないですね……。
- 全体的に
主人公ボイス付きでもよかったですね。孔雀の声、お姉さますぎて主人公っぽくないなーと思いました。あと主人公の衣装がルートによっては変わってたりするのが良かったです。かわいい。
モブキャラをみんな愚かであほに書きすぎててストレスだったので、「良い人たち」もきちんと描いてほしかったし、葛藤する様子を描いてくれたほうがしっくり来たと思います。「愚かだけど、愛すべき人たちもいるこの国を導きたい。人の手で人の世を良くしたい。人を信じていきたい」と結論付けられるような人々だったらもっともっと良くなったと思います。
実際の人間ってもっとグラデーションがあって、「性格カスだけど仲良くなると面白い」とか「人よさそうだけど実は人に興味ない」とかもっともっといろんな人たちがいて、一概に単純な愚か者だとは言えないのが事実だと思います。そういう人間のさまざまな側面を、愚かさを、「悪意」以外のかたちで描いてくれたら良かったです。
全体的に「んで、何が言いたいの?」みたいなことを思うルートが多かったので、そこは明確にしたほうがわかりやすかったんじゃないかなと思います。
そんな感じです。久々にこういう感じの乙女ゲームやれて、楽しかったし、そしてつらかったです。
以上!